遺言書の種類

遺言書には3つの種類がある

遺言書には、以下の3種類があります。

  1. 自筆証書遺言
  2. 公正証書遺言
  3. 秘密証書遺言

それぞれ特徴やメリット・デメリットが異なるため、自分に合った種類の遺言書を作成することが重要です。

自筆証書遺言自筆証書遺言
(法務局保管)
公正証書遺言秘密証書遺言
作成者本人本人公証人本人(代筆可)
手数料無料3,900円
(※保管料)
財産の金額に応じた公証役場手数料11,000円
証人なしなし2人以上2人以上
内容の秘密性ありあり公証人及び証人に知られるあり
保管方法本人法務局公証役場本人
検認の必要性ありなしなしあり

自分の希望する内容を実現するため、また残された家族が相続トラブルに巻き込まれないようにするため、遺言書の種類について確認しておきましょう。

①自筆証書遺言

自筆証書遺言は、その名のとおり遺言者(遺言を残す人)がすべて自筆で作成する遺言書です。

作成にあたって証人などは必要なく、遺言者1人ですぐに作ることができます。作成後は、そのまま自宅で保管することもできるため、ほかの遺言書よりも気軽に残せる点が特徴です。

【メリット】
・自分1人で手軽に作成できる
・書き直しがしやすい
・費用がかからない(法務局保管をしない場合)
・他人に遺言内容を知られない

【デメリット】
・有効性を疑われる場合がある
・遺言執行前に発見された場合、破棄・改ざんのリスクがある
・死後、遺言書が発見されず、内容が実現されないリスクがある

【自筆証書遺言を作成すべき人】
・遺産の金額や種類が少ない
・相続人の数が少ない
・相続人同士の関係が良好

自筆証書遺言の作成方法

  1. 遺言書に書くことを決める
  2. 全文を必ず自筆で記載する
  3. 作成日付を明記して、署名・押印をする

作成後は、自宅で保管するほか、2020年7月から開始された「自筆証書遺言書保管制度」により、法務局でも保管できるようになりました。

法務局保管であれば、改ざん・破棄のリスクがありませんし、自分が亡くなった際、指定した人への通知も行ってもらえる ので、いつまでも発見されないという事態も回避できます。

②公正証書遺言

公正証書遺言とは、公証人に作成してもらう遺言書のことです。
高度な法的知識や豊富な経験を持つ公証人が作成してもらうことで、極めて信頼性の高い遺言を用意できます。

【メリット】
・有効性を疑われることが基本的にない
・検認(遺言の形式面や開封時の内容を確認する手続)の必要がない
・公証役場保管になるため、破棄・改ざんなどのリスクがない
・「遺言検索システム」を利用できるので、死後に発見してもらいやすい
・公証人に自宅や病院に出向いてもらって作成できる

【デメリット】
・証人(※)が2名必要で、内容を知られてしまう
・費用がかかる(公証人への手数料等)
・気軽に作成・書き直しができない

  • 未成年者や推定相続人など、一部証人になれない場合があります

【公正証書遺言を作成すべき人】
・自分の死後、相続トラブルに発展するおそれがある
・安心して証人を任せられる人がいる
・体調などの関係で、自筆での作成が難しい

公正証書遺言の作成方法

  1. 遺言内容の原案(希望)をまとめる
  2. 公証人と内容について相談する
  3. 証人を依頼する
  4. 必要書類を用意する
  5. 遺言書を作成してもらう
  6. 内容確認後、署名・押印をする

作成された遺言の原本は公証役場に保管されます。正本または謄本については受け取ることができますので、大切に保管しておきましょう。

③秘密証書遺言

秘密証書遺言とは、内容は秘密にしたまま、遺言書があることだけを公証役場で証明してもらう遺言です。

秘密証書遺言には、自筆証書遺言の秘匿性や公正証書遺言の信頼性といったメリットを合わせ持つという特徴があります。ただし、デメリットも同じように合わせ持ちます。
また、「自筆証書遺言書保管制度」により、自筆証書遺言でも法務局で保管できるようになったため、かえって中途半端になり、選ばれづらい遺言書の種類ともいえます。

【メリット】
・パソコンや代筆でも作成ができる(署名は自筆)
・公証人が遺言の内容を確認しないため、 他人に遺言内容を知られない
・公正証書遺言よりは費用が安い

【デメリット】
・有効性を疑われる場合がある
・遺言執行前に発見された場合、破棄・改ざんのリスクがある
・死後、遺言書が発見されず、内容が実現されないリスクがある
・証人(※)が2名必要
・費用がかかる(公証人への手数料等)
・気軽に書き直しができない

  • 未成年者や推定相続人など、一部証人になれない場合があります

【秘密証書遺言を作成すべき人】
・遺産の金額や種類が少ない
・相続人の数が少ない
・相続人同士の関係が良好
・遺言の内容は秘密にしたまま、遺言書の存在だけ証明したい
・体調などの関係で、全文自筆が難しい

秘密証書遺言の作成方法

  1. 遺言書に書くことを決める
  2. 遺言書を作成し、必ず封をする(署名以外はパソコンや代筆でも可)
  3. 証人を依頼する
  4. 遺言書を公証役場に持ち込む
  5. 公証人と証人2名立会いのもと、署名・押印をする

手続後は、原本を自分で保管しなければならず、もし紛失した場合は最初から作成し直す必要があります。
また、公証人立会いの手続とはいえ、あくまでも自分で作成した遺言書であるため、開封時の検認手続が必要になります。

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