疎遠な相続人との話合い…どうやって進める?
相続手続を進めるためには、すべての相続人と遺産の分け方を話し合う必要があります。
しかし、相続人のなかに、これまで疎遠だった方がいる場合、どのように話をしたらよいかわからないという不安や悩みが出てくると思います。
この記事では、そのような疎遠な相続人がいる場合の相続手続の進め方について解説します。
- この記事でわかること
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- 疎遠な相続人と話し合うための5つのステップ
相続人を特定し、住所などを把握する
相続手続を進めるうえで、誰が法律上、相続人になるのかを特定し、その相続人の住所などの連絡先を正確に把握することが必要です。
そのためには、まず戸籍謄本を取得し、法定相続人が誰になるのかを確認しましょう。
相続人の住所がわからない場合には、戸籍の附票を取得することで住所が判明する場合があります。
また、親族などから疎遠な相続人と故人とのこれまでの関係や、現在の状況なども可能な限り情報を集めておくと、のちの話合いをスムーズに進めるうえで役立ちます。連絡の取れる親族などから情報を集めておきましょう。
相続財産と負債の状況を把握する
相続手続を進めるには、相続人の情報を集めるだけでなく、「相続対象となる財産にどのようなものがあるか」を整理しておく必要もあります。
相続財産には、預貯金や不動産などのプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も含まれます。もしマイナスの財産のほうが多いという場合には、相続放棄の手続も考えなければなりません。
また、話合いにあたっては、土地などの不動産の価値をある程度把握しておく必要もあります。不動産の評価については、不動産業者による査定や路線価による評価、固定資産税評価額など複数の評価の仕方があり、一概には言えません。
もし不動産が複数あり、評価が難しいような場合には、法律の専門家にご相談することをおすすめします。
相続人への連絡方法を検討する
相続人への連絡手段としては、電話や手紙、メールなど、さまざまな方法が考えられますが、疎遠だった方に対しては、まずは書面で連絡するのがおすすめです。
突然の電話や訪問は、相手を驚かせてしまう可能性がありますが、手紙であれば、相手のペースで状況を理解してもらうことができ、誤解を招くリスクを軽減できます。
手紙には、故人との関係性や、相続が発生した事実、そして今後の相続手続に関する話合いの希望を丁寧に伝えましょう。そして、連絡先を記載し、相手から連絡をもらえるように伝えましょう。
話合いをする
相手と連絡が取れた場合には、まずは相手が相続分を受け取る意向があるかを確認しましょう。
もし受け取る意向があれば、「相続財産がどれくらいあるのか」といった質問が出てくると思います。その場合に、相続財産を隠して伝えるなどすると、後日、そのことが発覚した場合には紛争となってしまいます。
そのため、不信感を抱かせることのないよう、包み隠さず誠実に対応することをおすすめします。
また、具体的に遺産分割の話合いをする際は、相続人全員が顔を合わせて話し合える場を設けることが理想です。
話合いの際は、まず相続財産の状況を説明し、各相続人の法定相続分がどのようになるのかを確認しましょう。財産の分け方は、相続人全員が合意できるのであれば、法定相続分に従わずどのように分けても問題はありません。
しかし、相続人各人の事情によってさまざまな要望があるでしょうから、自身の要望を一方的に伝えるのではなく、各相続人の要望を踏まえて落としどころを探る必要があります。
その際は、くれぐれも冷静に、そして丁寧に対応することを心がけてください。
専門家のサポートを検討する
相続問題は親族間の問題であり、感情的な対立が生じやすいという側面があります。また、話合いに参加する方が、必ずしも法律的な知識を持ち合わせていないことも多く、理不尽な要求をしてくることも考えられます。
そのような場合には、第三者、特に弁護士などの法律の専門家を間に入れて、話合いを進めたほうがよいでしょう。
もちろん、相手方の対応次第では、話合いがまとまらないことも考えられますが、そうなれば、調停などの裁判所を使った手続に行わざるを得ません。
「話合いが円満に進まなさそう…」と感じた場合には、早めに専門家に相談し、アドバイスを受けておくとよいでしょう。
まとめ
相続は、故人から受け継いだ大切な遺産を、次の世代へと繋ぐための必要不可欠なプロセスです。疎遠だった相続人も、法定相続人である以上、相続を進めるための話合いは避けて通れません。紛争になれば、お互いにとって利益にはなりませんので、誠実に、丁寧に、話合いを進め、相手の理解を得られるように進めていきましょう。
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- この記事の監修者
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- 弁護士
- 橋 優介
- 資格:
- 弁護士、2級FP技能士
- 所属:
- 東京弁護士会
- 出身大学:
- 東京大学法学部
弁護士の職務として特に重要なことは、「依頼者の方を当人の抱える法的問題から解放すること」であると考えています。弁護士にご依頼いただければ、裁判関係の対応や相手方との交渉などは基本的にすべて弁護士に任せられます。私は、弁護士として、皆さまが法的な心配をせず日常生活を送れるように、陰ながらサポートできる存在でありたいと考えています。