相続登記で登録免許税はいくらかかる?計算や納付の方法を解説
相続登記の際に必要となる登録免許税は、登記する不動産の価値に、法律で定められた税率をかけることで計算できます。
しかし、相続した不動産の内訳などによっては、計算が複雑になる場合があります。
また、なかには登録免許税が免除されるケースもありますが、方法を間違えると免除は受けられません。
今回の記事では、相続登記における登録免許税の詳しい計算方法や納付方法、登録免許税が免除されるケースなどについて解説いたします。
- この記事でわかること
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- 相続登記における登録免許税の計算方法
- 登録免許税の納付方法
- 相続登記で登録免許税が免除されるケース
- 目次
相続登記で必要になる登録免許税とは?
登録免許税とは、不動産などの登記を行う場合に発生する税金のことです。
そして、不動産を相続して相続登記の手続をする場合にも、この登録免許税がかかります。
登録免許税の金額は、対象となる不動産の価格(課税標準額)に一定の税率をかけて算出します。
その後、算出した税額を法務局に納付する必要があります。
登録免許税の対象となる不動産
登録免許税は、宅地や田畑などの種類を問わず、ほとんどの不動産が対象となります。
たとえば、固定資産税が非課税の私道などであっても、基本的には登録免許税がかかるため注意が必要です。
ただし、墓地については、公共性が高いことなどを理由として、登録免許税が例外的に非課税とされています。また、条件を満たした場合には登録免許税が免除されるケースもあり、この点についてはのちほど詳しくご説明します。
そういった例外は一部あるものの、一般の方が不動産を相続するような場合については、基本的に登録免許税が発生するものと考えておけばよいでしょう。
相続登記における登録免許税の計算方法
相続登記の際に必要となる登録免許税の金額は、「不動産の課税標準額×0.4%(税率)」になります。
ただし、実際に計算する場合は以下のような順で行う必要があります。
- 計算で使う書類の準備
- 課税標準額の確認
- 登録免許税の算出
それぞれ詳しく見ていきましょう。
①計算で使う書類の準備
登録免許税を計算するにあたり、まずは「固定資産税課税明細書」あるいは「固定資産税評価証明書」を準備しましょう。
というのも、登録免許税の計算には、不動産の課税標準額(固定資産税評価額)を確認する必要があるのですが、課税標準額がその2つの書類に記載されているためです。
固定資産税課税明細書は、毎年6月ごろまでに不動産の所有者に対して送付されるため、亡くなった方のもとに固定資産税課税明細書が届いていたか確認してみましょう。
もし固定資産税課税明細書が見つからなければ、固定資産税評価証明書を取得しましょう。固定資産税評価証明書は、自治体の窓口から申請することで取得できます。
②課税標準額の確認
固定資産税課税明細書もしくは固定資産税評価証明書を用意したら、「価格」または「評価額」と表記されている箇所を確認しましょう。そこに書かれた金額が課税標準額になります。
なお、似たような表記で「固定資産税課税標準額」というものもありますが、これは登録免許税の算出に使用するものではないので注意が必要です。
③登録免許税の算出
課税標準額がわかれば、あとは基本的に税率をかけて計算するだけです。
相続登記にかかる登録免許税の税率は0.4%のため、計算式は以下のようになります。
課税標準額×0.4%=登録免許税額
なお、計算した額に100円未満の端数があるときは切り捨てになります。
相続登記における登録免許税の計算例
先ほどご説明した計算式に則って、実際に登録免許税を計算してみましょう。
3つのケースに分けて、それぞれ解説いたします。
土地と建物を相続するケース
土地と建物を両方相続した場合は、土地と建物の評価額を合算して、登録免許税を計算します。
なお、合算した額に1,000円未満の端数があるときは切り捨てになります。
たとえば、土地の課税標準額が2,000万3,300円、建物の課税標準額が510万6,600円の場合であれば、以下のように税額を算出します。
- 土地と建物の評価額を合算する
2,000万3,300円+510万6,600円=2,510万9,900円 - 1,000円未満の端数を切り捨てる
2,510万9,900円の端数を切り捨てて、2,510万9,000円 - 登録免許税の税率をかける
2,510万9,000円×0.4%=10万436円 - 100円未満の端数を切り捨てる
10万436円の端数を切り捨てて、10万400円
上記のように計算して、登録免許税は10万400円となります。
土地と建物の共有持分を相続するケース
亡くなった方が別の人と不動産を共有していて、亡くなった方の有していた共有持分を相続する場合には、その持分の割合を考慮して税額を算出する必要があります。
たとえば、相続した土地の課税標準額が2,000万3,300円、建物の課税標準額が510万6,600円の場合で、亡くなった方の持分の割合が4分の1だったとすると、税額は以下のように算出します。
- 固定資産税評価額に持分割合をかける
土地:2,000万3,300円×1/4=500万825円
建物:510万6,600円×1/4=127万6,650円 - ①で持分割合を乗じた結果を合算する
500万825円+127万6,650円=627万7,475円 - 1,000円未満の端数を切り捨てる
627万7,475円の端数を切り捨てて、627万7,000円 - 登録免許税の税率をかける
627万7,000円×0.4%=25,108円 - 100円未満の端数を切り捨てる
25,108円の端数を切り捨てて、25,100円
上記のように計算して、登録免許税は25,100円となります。
固定資産税が非課税の土地を相続するケース
固定資産税がかからない土地、特に私道を相続するケースなどが典型的ですが、そういった場合、固定資産税評価証明書には課税標準額が0円と記載されています。
こういったケースでは、近隣の土地の価格(単価)を参考にして、課税標準額を算出します。
たとえば、私道(公衆用道路)であれば以下のような計算になります。
近隣の宅地(近傍宅地)の単価×私道の面積×0.3 =課税標準額
あとは、算出した課税標準額に税率0.4%をかければ、登録免許税の金額が算出できます。
相続登記における登録免許税の納付方法
では、実際に登録免許税を納付するにはどうすればいいのでしょうか。
具体的には、以下の3つ方法があります 。
現金納付 | 先に金融機関などの窓口において現金で納付を行い、その領収証等を登記申請書類と ともに法務局に提出する方法です。 |
印紙納付 | 登録免許税の額が3万円以下の場合に行うことができる方法です。 郵便局や法務局で税額分の収入印紙を購入し、購入した収入印紙を所定の台紙に貼り 付けたうえで登記申請書類とともに法務局に提出します。 |
電子納付 | インターネットバンキングやATMを利用して納付する方法です。 この方法では、オンラインで発行された電子納付情報に基づいて納付を行うため、登記の申請自体をオンラインで行う必要があります。 |
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相続登記では登録免許税が免除されるケースがある
平成30年以降、税制改正が順次行われていった結果、以下の2つの場合には相続登記の登録免許税が免除 されることになりました。
相続により土地を取得した方が相続登記をしないで死亡した場合
たとえば、あなたの祖父が亡くなって父が土地を相続したが、父が相続登記をしないまま死亡したような場合が当てはまります。
この場合、ご自身が土地を相続するにあたっては、祖父から父、父からあなた、という2段階の相続登記を行う必要がありますが、このうち祖父から父の相続登記については、登録免許税がかかりません。
ただし、この免税措置を受けるためには、免税の根拠となる法令の条項を申請書に記載する必要があります。
具体的には、「租税特別措置法第84条の2の3第1項により非課税」と申請書に記載します。記載がないと免税措置が受けられないため注意しましょう。
不動産の価額が100万円以下の土地の場合
不動産の価額(課税標準額)が100万円以下であれば、登録免許税が課されません。
従来は10万円以下が基準となっていましたが、令和4年度の税制改正により、適用対象となる土地の価額の上限が100万円に引き上げられ、免税されるケースが増えました。
ただし、この免税措置についても、適⽤を受けるためにはその根拠となる法令の条項を申請書に記載しておく必要があります。
記載内容は、「租税特別措置法第84条の2の3第2項により⾮課税」です。この記載がなければ免税措置は受けられません。
相続登記や登録免許税のことならアディーレへ
ご説明してきたように、登録免許税は相続登記の際に必ず納付しなければなりません。
しかし、登録免許税の計算や関連書類の準備は、一般の方が行うと思った以上に手間がかかります。
ですが、アディーレに相続登記の申請をご依頼いただければ、そういった手間がかかりません。相続登記の申請と合わせて、登録免許税の計算・納付を依頼者の方に代わってアディーレが行います。
アディーレなら相続手続に関するご相談は何度でも無料です。
登録免許税の納付や、相続登記の申請でお悩みの方は、まずは一度お気軽にお問合せください。
- この記事の監修者
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- 弁護士
- 橋 優介
- 資格:
- 弁護士、2級FP技能士
- 所属:
- 東京弁護士会
- 出身大学:
- 東京大学法学部
弁護士の職務として特に重要なことは、「依頼者の方を当人の抱える法的問題から解放すること」であると考えています。弁護士にご依頼いただければ、裁判関係の対応や相手方との交渉などは基本的にすべて弁護士に任せられます。私は、弁護士として、皆さまが法的な心配をせず日常生活を送れるように、陰ながらサポートできる存在でありたいと考えています。